映像(テレビなど)よりも文章(記事、書籍)を

 栗田路子さんという方が書いた下記の記事は日本のテレビの性質がどんなものか考える上でとても参考になる。備忘録としてリンクを張っておこう。

取材された難病少年も静かな怒り、日本の海外ロケの無茶

 20年近くテレビを見ていない僕だが、この記事を読むとこれからもテレビを見ることはないんだろうなと思う。
 映像というものはリアルに見えても、実際には現実をとても断片的に切り取ったものだ。先日読んだ高野秀行著『辺境中毒!』にもそのことが書いてあった。高野氏は辺境地域の記事を書く人だが、一度テレビ局の取材に同行したことがあるそうだ。カメラを回していない時に起こったことは重要なことでも番組に組み込めない。一方、文章で(つまり記事や本で)発表する分には映像がいらないので、体験したことを書ける。そんなわけで高野氏から見るとテレビというものは理不尽なものに見えるというわけだ。

【カラー版】辺境中毒! (集英社文庫)【カラー版】辺境中毒! (集英社文庫)
(2014/05/01)
高野秀行

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 外国のことを知りたかったら、映像ではなく文章の方がいい。入り口としてテレビなどの映像に刺激を受けるのはいいけれども、よりリアルな情報に接しようとしたら、書籍や記事の方がいいと言うことだ。
 ところで、今年の教養ゼミの教科書として指定した『ルーマニアを知るための60章』が生協で1冊も売れなかったのはとても残念なことだ。これからでもいいから、買って読んではいかがか。損はないはずだ。

ルーマニアを知るための60章 エリア・スタディーズルーマニアを知るための60章 エリア・スタディーズ
(2007/10/05)
六鹿 茂夫

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備忘録:反転授業の有効性

 気になる記事があったので、記事へのリンクを貼っておく。

カリフォルニアの高校で、一部「反転授業」が導入された背景 生徒間の学力格差をワープスピードで拡大する、残酷なツール

 気になったのは下記の箇所。反転授業はやる気のある生徒には有効だけれども、やる気のない生徒を引っぱっていく方法にはならないという点が気になる。大学のリメディアル教育で反転授業を導入するのは難しいと考えるべきなのだろうな。

なお「反転授業」はモチベーションのある生徒にしか使えません。なぜなら理解の土台になる、授業部分の視聴を生徒の自主性に任せてしまうので、怠けて動画を視聴しない生徒が続出するからです。

やる気のある生徒はどんどん動画を視聴して先へ行けるし、駄目な生徒は、そもそも動画の授業すら視聴していないので、練習問題も解けなければ、先生からは「まず動画を見なさい」と一蹴されてオシマイ。

このように「反転授業」は生徒間の学力格差をワープスピードで加速させる、残酷なツールなのです。

α、勇気を出せ!

 単刀直入に言おう。α、今君に必要なのは物事をありのままに見据える勇気だ。勇気を持って、君の周りで起きていること、そして自分自身を見据えることができなければ、問題は解決しない。勇気を出せ。いつまでも自分の殻に引きこもるな。日本では昔、15歳で元服した。君はもう大人だ。勇気を出せ。
 君は、自分が行った民族差別によって糾弾されている。まずは、自分が行った行為をしっかり見据えるべきだ。君は謝罪の手紙の中である例え話を書いた。僕がここで言及しているのは、日本人に向かってJapと呼びかけることがいけないという部分のことだ。でも、この例えはごまかしだ。そもそも、君が行った民族差別行為では差別用語は使っていない。君の民族差別的な言動に含まれていた単語は全てそれ自体が差別的なニュアンスを含むものではなかった。しかし、言っている内容は、差別的なものであり、国際理解の促進を旨とする学校の生徒として極めて不適切なものだった。差別用語を使わなくても差別ができることを証明するような行為を君は行ったのだ。
 君があの手紙を書く際、自分で考えて書いたのだろうか。それとも、周りの大人にアドバイスされたのだろうか。もし、アドバイスされたとすれば、その大人は間違ったアドバイスをしたことになる。まずは、自分でしっかり自分のやったことを理解することが必要だ。他人をあてにするな。
 今回の事件は君の認識があまりにも未熟であるために起きた出来事だ。人間をステレオタイプに当てはめて認識するのは幼い子供が行う安直な認識方法だ。人間を一つひとつの行動から評価するのではなく、その人間の属性(どの民族か、何歳かなど)で評価するのは、洞察力がなくてもできる。だから、子供向けの本に出てくる主人公以外の人物はどれも何かの典型に当てはまるような人物になっている。しかし、現実は違う。一人ひとりの人間が歴史を背負っている。同じ民族に属する人間でも、同じ国家の国民でも、さまざまな人間がいる。
 君は自分のことを何人と認識しているのだろうか。君にとっての祖国と言える二つの国家で生まれた人物を少し列挙する。ピエール・トルドー、ハバート・ノーマン、藤永茂、堀江貴史。これらの人物と君の間に共通点はあるだろうか。髪の毛の色なんかではなく、人格として共通点があるか考えてほしい。全くないことに気づくだろう。
 これでわかったと思うけど、人間の人格は、民族や所属する国家によって規定することはできない。もちろん、政治体制による影響はあるだろう。しかし、目の前にいる人間の人格を理解するためには、「民族XはYという行動をとる」といったステレオタイプを参照するのではなく、目の前にいる人間の行動を虚心坦懐に認識する以外にない。
 目の前にいる人間をありのままに見据えるには勇気が必要だ。相手が言っていることが理解できなかったら、理解できるまで辞書や文献を読みこんで勉強することが必要だ。自分の勉強不足、理解不足をしっかり見つめる必要がある。それは、恥ずかしいことかもしれない。だからこそ勇気が必要なんだ。意図するか否かにかかわりなく自分が加害者であることを認識しなければならない場合がある。これは勇気がなければ認められないことだ。
 君はこのまま臆病者として過ごすつもりだろうか。そんなことはないと思う。それはあまりにみじめだ。勇気を出せ。本を読め。先生や親の言うことを絶対だと思うな。これは先生や親に責任をなすりつけない自立した大人になるために必要なことなんだ。
 世の中は、子供向けの絵本やゲームとは違う。君はお客さんではない。世界を構成する一員だ。まだ若いけれども責任ある一員だ。世の中を少しでも良くしようと思ったら、まず自分を変えることだ。勇気、これこそが君に今足りないものだ。君に勇気が出たら、「○○人は泥棒だ」なんて面と向かって言えないはずだ。勇気を出せ。そして、大人になれ。

『翼の王国』のルーマニア関連記事

教養ゼミA(8)受講者の皆さん、

 先週の金曜日は出張で休講にしてしまって、すみませんでした。出張中にルーマニアに関してちょっと面白いものを見つけましたので、報告します。
 羽田からの帰路、ANAを利用しました。ANAの機内誌『翼の王国』の5月号が見開きで(つまり2ページ使って)ルーマニアを記事にしていました。ANAが企画する海外パッケージツアー「ANAワンダーアース」の宣伝です。
 プロの方が撮ったからでしょうか、写真はとてもきれいです。ただ、説明の文章には首を傾げざるを得ない点がいくつかありました。
 1点目はルーマニアの歴史を説明した文章の中の下記の文です。
ルーマニアが統一を果たすのは1918年のことで、それ以前は、モルドヴァ、ワラキア、トランジルバニアの3つの公国がそれぞれ独立した形で存在した。

『翼の王国』の記事では、トランシルヴァニアを一貫してトランジルヴァニアと標記しているのですが、それはここでは問題にしません。問題は、この文を素直に読むと、1918年以前はモルドヴァ、ワラキア、トランシルヴァニアが別々の国だったと解釈できる点です。
 トランシルヴァニアがルーマニア領になったのは第一次世界大戦終了後の1918年です。しかし、モルドヴァとワラキアが合同するのはもっと早く、1877年のことです。1878年のベルリン会議でルーマニア王国が国際的に承認されることになります。
 つまり上で引用した文は、主節の部分が歴史的な事実を反映していないのです。いやはや、一人あたり61万8千円〜63万8千円のツアーを企画する会社の文章としてはちょっとお粗末です。どんなガイドをしてくれるんでしょうね。
 ブラショブの街並みの美しい写真のキャプションにはこんな一文もあります(この記事ではBrasovを一貫して「ブラショフ」と標記していますが、ドイツ語訛り?ということで問題にしないことにします。ま、BrasovにはKronstadtというドイツ語名があるのですが)。
ドイツの様式が色濃く残り、ルーマニアの他の街とは異なる独特の雰囲気が漂う。

 建物にドイツの様式が色濃く反映している都市は他にもあります。トランシルヴァニアの都市は全般にその傾向がありますので、ルーマニアの他の街とは異なるとは言えないでしょう。
 ブラン城についてドラキュラの居城のモデルになったことしか書いていないもの残念です。なぜ残念かはゼミで話しますね。
 皆さんが企画する旅行は、よほどのへまをしない限り、このパッケージツアーの半額以下で済みます。よほどのへまというのは、いつまでもパスポートを用意しない学生がいるような事態です。
 このパッケージツアーはビジネスクラスを使うわけではありません。エコノミークラスを使うものです。何故こんなに高いのか、考えてみてください。答えはわりと簡単に見つかるはずです。今週のゼミで皆さんの答えを聞いてみたいと思います。
 勉強するとお金の節約になるね。そして、自由も手に入るね。これがヒントです。
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motanel

Author:motanel
 佐々木のブログにようこそ。所属は経営学部ですが、論文の書き方と言語学関連科目を教えています。専門は日本語の方言文法。音韻論、形態論、統語論、意味論、面白そうなことがあればジャンルにこだわらず首を突っ込んでいます。研究の詳細についてはホームページをご参照ください。

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